AGA治療の救世主 ミノキシジルについて
ミノキシジル開発の経緯と発毛作用
・ミノキシジルは当初、経口降圧薬としてアメリカで開発されましたが、治療中の患者さんに多毛が認められたことから、発毛剤としての開発が進められました。
・その作用は、休止期毛から初期成長期毛包への移行を促進させ、維持させます。これにより、細い生毛が太い終毛へと成長します。
当初は降圧薬としての血管拡張作用が頭皮の毛細血管を拡張させ、血流を改善することで発毛効果があるのでは?との見解でした。
しかし、最近の研究によると種々のグロースファクターの産生やプロスタグランジン産生促進作用、コラーゲン合成抑制作用など、ミノキシジルそのものに育毛作用があることが分かってきています。
そして、大切なことはフィナステリドによるDHT産生抑制効果がミノキシジルにはないこと。
これはつまり、フィナステリドとの併用により二重・相乗の育毛効果が得られるということになります。
内服・外用
現在ミノキシジルには内服薬・外用薬の2種類が存在します。
それぞれ用法用量はその方によって変わってくるのでドクターと相談してお使いください。
副作用
ミノキシジルの副作用は、もともと降圧薬であったことによる循環器症状と効果そのものである多毛が挙げられます。
具体的には、動悸やむくみを自覚される方がまれにいらっしゃいます。症状の程度によりますが、使用を中止する場合もあります。
多毛は、髪の毛以外の体毛が濃くなる場合があります。医療脱毛が安全で確実になった現代においては対処できる副作用ではありますが、比較的多く見られる減少ですのでどうしても体毛が濃くなることが許せない方にとってはそもそも内服はおすすめしません。
外用については頭皮の接触性皮膚炎と呼ばれる、かぶれ症状が見られることがあります。
また、ミノキシジルによる発毛は毛周期が同期化しているため、一過性に抜け毛が多く自覚されることがありますが、1ヶ月程度でこの症状は自然に軽快します。
フィナステリドと比較すると注意事項が増えますが、その効果は絶大であり、医師からの適切な指示をお守りいただければ、上記は確実に消失する副作用です。
AGA以外にも有効?
ルアップの使用注意にはAGA以外の有効性はないとの記載がありますが、文献上、円形脱毛症に対しても有効であることが分かっています。
また、遺伝的に薄毛を生じる連珠毛などにも有効です。
まとめ
ミノキシジルとフィナステリドの併用による育毛効果は非常に高く、AGA治療に欠かすことのできないお薬ですが、容量や適応判断には注意が必要となります。
必ず医師の診察の上で処方されたお薬をご使用ください。
AGA治療の基本フィナステリドについて
フィナステリドの化学構造とその活性
フィナステリドは5α-還元酵素Ⅱ型の特異的阻害薬で、テストステロン(いわゆる男性ホルモン)とよく似た構造をもち、5α-還元酵素Ⅱ型を競合阻害します。
その結果、テストステロンが毛の成長期を短縮させる原因となるジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを抑制します。
フィナステリドは頭皮組織中および血中DHT濃度をそれぞれ70%程度減少させることにより、臨床的効果を示します。
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa11/q04.html
フィナステリドの容量・適応
・20歳以上の男性における男性型脱毛症のみの適応で、他の脱毛症には適応はありません。
・十分な効果を得るためには1mg/日投与が必要です。
・海外での閉経女性の男性型脱毛症を対象とした研究で、フィナステリドの女性に対する有効性は認められず、女性への適応はありません。
特に妊婦に投与するとDHTの低下により男性胎児の生殖器官などの正常発育に影響を及ぼす可能性があるため、妊婦・授乳中の女性への投与は禁忌となります。
フィナステリドの臨床効果
・日本での臨床試験では「やや改善」以上は、1年間の投与で58%、3年間の投与で78%でした。
・したがって、即効性があるわけではなく、効果が確認できるまで通常6ヶ月の投与が必要になります。
・内服中止によって3~6ヶ月で効果は消失し、内服中止1年で内服していなかった場合の脱毛状態になります。
フィナステリドの副作用と注意
・一般的には性機能異常が有名ですが、日本での臨床試験では出現頻度はプラセボ群と有意差がなく、否定的と言われています。
・前立腺がんマーカーであるPSA(前立腺特異抗原)が約1/2に減少するので、フィナステリド内服中は約2倍に換算することが必要です。
まとめ
大きな副作用のないフィナステリドは、安心して内服を継続してもらえる事ができる反面、効果もマイルドであり単剤では「これ以上の抜け毛予防」という使用用途になるかと思います。
なんとなく薄毛が気になってきてしまった30代前半までの方や、別の治療によってすでに十分な育毛効果を実感できている方に対してフィナステリドの単剤治療をおすすめ致します。
治療日記
アラサー男子 治療日記
主訴:徐々に頭頂部の軟毛化が進み、頭皮が見えるようになってきた。
父・祖父に薄毛の家族歴あり。
皮膚科やAGAクリニックの受診歴・治療歴なく、その他特記すべきアレルギーや既往歴なし。
喫煙なし。機会飲酒あり。
保険会社勤務のアラサー。
治療開始前
思春期以降に徐々に進行し、軟毛化を伴う頭頂部からのパターン脱毛で
典型的なAGA
Norwood分類Ⅲvertexと診断しました。
治療
治療の即効性と育毛の効果を最大限にしたいとのニーズ、特記すべき既往歴がないことから今回は、
フィナステリド内服+ミノキシジル内服+ビタミン+外用
のフルコースでの治療からスタートしました。
それぞれのお薬の効果や副作用についてはまた後日お伝えします!
これらを内服は1日1回、外用はできれば1日2回で開始し、3ヶ月後の効果をみて調整していこうと思っています。
当然医薬品を使用するので、一定の確率でアレルギー症状や副作用が出現する場合があります。
万が一、今回の治療中に副作用が出現してしまった場合も、むしろ御覧頂いている皆様のお役に立てるように包み隠さずにお伝えしていきたいと思っております!
今後の改善に乞うご期待!!
円形脱毛症
AGAとの鑑別疾患「円形脱毛症」について
発生頻度
圧倒的に多いAGAの次に多い円形脱毛症。
と言っても人口の0.1~0.2%の頻度で発生(アメリカでの統計で日本でも同程度と考えられています)し、AGAと比較するとぐっと可能性は低くなります。
http://mens-ikumou.com/hagesyurui
一般的にストレスが原因とされていますが、実は医学的にストレスとの因果関係は証明されていません。
この「根拠のないストレス説」は、患者さんはもとより、家族・学校の教師・周辺の仲間を苦しめていることをもっと周知させる必要があります。
例えば、円形脱毛症を発症した子供の親が「学校におけるストレスのせいで円形脱毛症が出現した」と学校や教師を訴えかねない自体なのです。
おそらく自己免疫異常が原因と言われていますが、現在も研究が進められています。
合併症
橋本病に代表される甲状腺疾患を含む内分泌疾患、またアトピー性疾患を高頻度に合併することが明らかになっています。
予後
アトピー素因をもたず、思春期以降に孤立性病巣が単発、多発する場合の予後はまず良いものだと言われています。
しかし、小児での汎発性脱毛ではなかなか完治しにくいと言われています。
また、脱毛面積が広いほど難治性と言われています。
鑑別診断
・トリコチロマニア・・・自分で毛を抜いてしまう、ある種の精神疾患。
・悪性腫瘍の皮膚転移
・真菌症
治療
主にステロイドや免疫抑制剤を使用した治療になります。
詳細はガイドラインに譲ります(
https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/1372913324_2.pdf)
また、難治性の症例については家族を含めた精神的なケアも大切になります。
)。
AGAの診断
AGA
男性型脱毛症の略で、全年齢を平均した発症頻度は約30%との報告があります。
我々アラサー(30代)では20%だそうです。
特徴
前頭部 or/and 頭頂部から徐々に毛が薄くなっていくのがAGAの基本病態。
逆に言うと、全体的に頭部全体が疎になる場合や、頭頂部・側頭部以外が部分的に薄くなる場合はAGAではない可能性があるので、お医者さんに受診して適切な診断を受けることが大切です。
なんでAGAになっちゃうの?
これは男性ホルモン(テストステロン)が大きく関わっています。
とーってもざっくりと言うと、
もともと我々の体にある男性ホルモンが、
Ⅱ型5αリダクターゼ(こんな名前忘れていいです)と呼ばれる酵素によって
悪玉男性ホルモン(ジヒドロテストステロン)に変わっちゃいます。
(※医学的にそんな言葉はありませんが)
前頭部と頭頂部は特にこの悪玉男性ホルモンの影響を受けやすく、徐々に毛が柔らかく薄くなってきちゃう。と言う仕組みです。
検査・診断
実は、男性ホルモンと悪玉男性ホルモンの血中ホルモン値はAGAの人と健常な人で差はないので診断に有効な血液検査はありません。
大事なのは、臨床的に前頭部の生え際が後退して、頭頂部の毛髪が細く短くなってきていること。診断はそんなに難しくありません。
次回はAGA以外の薄毛の病気についてもう少し詳しくお伝えしたいと思います。
はじめまして。
こんにちは、アラサーさん
はじめまして、アラサー医師のゆういちです。
突然ですが「AGA」って言葉、ちまたでよく耳にすると思います。
Androgenetic Alopeciaの略語で「男性型脱毛症」の意味です。
だんだんと生え際 or/and 頭頂部の髪の毛が薄く細くなっていく状態のことで、アラサー以降男子の多くが悩みを抱えています。
リアルタイム治療記録
かくいうこのブログの発信者であり、マイメン新藤くんも30代で薄毛が気になるアラサー男子の一人。
彼の治療をリアルタイムで発信し、薄毛に悩むアラサー男子のお役に立てればと考えております。
どんな治療があるの?
育毛サロン・発毛剤・ヘッドスパ・AGAクリニック、薄毛に関するアプローチは色々ありますが、医学の見地から最良の治療方法をお伝えしていきます。
アラサー男子にむけて
プラスα、アラサーに役立つのか役立たないのかよくわからない情報も発信していきたいと思います笑。