AGA治療の基本フィナステリドについて
フィナステリドの化学構造とその活性
フィナステリドは5α-還元酵素Ⅱ型の特異的阻害薬で、テストステロン(いわゆる男性ホルモン)とよく似た構造をもち、5α-還元酵素Ⅱ型を競合阻害します。
その結果、テストステロンが毛の成長期を短縮させる原因となるジヒドロテストステロン(DHT)に変換されるのを抑制します。
フィナステリドは頭皮組織中および血中DHT濃度をそれぞれ70%程度減少させることにより、臨床的効果を示します。
https://www.dermatol.or.jp/qa/qa11/q04.html
フィナステリドの容量・適応
・20歳以上の男性における男性型脱毛症のみの適応で、他の脱毛症には適応はありません。
・十分な効果を得るためには1mg/日投与が必要です。
・海外での閉経女性の男性型脱毛症を対象とした研究で、フィナステリドの女性に対する有効性は認められず、女性への適応はありません。
特に妊婦に投与するとDHTの低下により男性胎児の生殖器官などの正常発育に影響を及ぼす可能性があるため、妊婦・授乳中の女性への投与は禁忌となります。
フィナステリドの臨床効果
・日本での臨床試験では「やや改善」以上は、1年間の投与で58%、3年間の投与で78%でした。
・したがって、即効性があるわけではなく、効果が確認できるまで通常6ヶ月の投与が必要になります。
・内服中止によって3~6ヶ月で効果は消失し、内服中止1年で内服していなかった場合の脱毛状態になります。
フィナステリドの副作用と注意
・一般的には性機能異常が有名ですが、日本での臨床試験では出現頻度はプラセボ群と有意差がなく、否定的と言われています。
・前立腺がんマーカーであるPSA(前立腺特異抗原)が約1/2に減少するので、フィナステリド内服中は約2倍に換算することが必要です。
まとめ
大きな副作用のないフィナステリドは、安心して内服を継続してもらえる事ができる反面、効果もマイルドであり単剤では「これ以上の抜け毛予防」という使用用途になるかと思います。
なんとなく薄毛が気になってきてしまった30代前半までの方や、別の治療によってすでに十分な育毛効果を実感できている方に対してフィナステリドの単剤治療をおすすめ致します。